ラズパイを用いたテレワーク運用について

投稿日:2020年9月17日

Raspberry Pi というものをご存知でしょうか?
教育で利用されることを想定して制作されたシングルボードコンピュータ(※1)です。
教育目的で製作されてはいるものの、その特性により昨今のIoT需要により
センサーデバイスや、デジタルサイネージ、タブレットなどの小型端末として、
商用利用されることも年々増加傾向にあります。

 また、2020年の世界的なコロナ禍ではIPA(情報処理推進機構)とNTT 東日本の共同プロジェクトである
「シン・テレワークシステム」 の中継システムにおいて、そのコストパフォーマンスの高さで、
ハードウェア費用を大きく削減させるなどの活躍を見せました。

出典:「シン・テレワークシステム」 セキュリティ機能の大規模アップデートと実証実験の現状報告について

弊社のRaspberry Pi との関わり合い方としては、
社内制度の一つである委員会制度の中にRaspberry Pi 委員会というものがあり、
その中で日々Raspberry Piを使い、技術的に遊んでいます。

本コラムでは、その活動の一環として、
『Raspberry Piがテレワークにおける
クライアント端末として利用できないか』
を考察していきたいと思います。
今回は
『自宅から Raspberry Piをクライアント端末として、
社内ネットワーク内に存在するWindows PCに接続する』

という想定で検証を進めていきます。



まず、今回使用したのRaspberry Piの情報です。
Raspberry Piには、いくつか機種が存在しますが、
今回検証に利用した端末は Raspberry Pi Model 4b(メモリ4GB)です。
主なスペック、製品仕様については以下となります。

  • CPU:1.5GHz クアッドコア Cortex-A72
  • メモリ:4GB
  • 記憶領域:128GB
  • 価格:約6,800円

今日のPCとしては決してハイスペックとは言えませんが、
接続先のWindows PC上でほとんどの処理を行うため、
クライアント端末としては充分と考えられます。
OSは、Raspberry piで広く利用されているRaspbianを採用しております。
そのOS上で、OpenVPNというVPNソフトウェアを用いて弊社内ネットワークに接続し、
Remmina(※2)というリモートデスクトップクライアントにて、Windows PCに接続します。
Raspbianも組み合わさり、見た目の印象はWindowsと若干異なりますが
GUIでの操作が可能です。
なお、余談ですが、弊社では上記のOpenVPNにて、自宅などから安全に社内ネットワークに接続し、
テレワークが行える環境を整えており、今回の評価でも利用しています。



上記の環境で、接続を行えるか試行してみたところ、
結果として下記の様に、弊社の環境を利用してではありますが、
Raspberry Piをクライアント端末として利用できるという評価結果となりました。

RaspBerry Piを用いて社内WindowsPCにVPN接続した図
WindowsPCで弊社Webサイトにアクセスしております

Raspberry piを利用してテレワークができる!ということが分かったところで、
今度は、Raspberry Piをテレワークに導入するメリットについて考えていきたいと思います。
本コラムでは、特に近い運用となるスティック型PC(※3)と比較してみます。



やはり最大のメリットとしては、端末の複製や故障からの復旧の容易さだと考えます。
Raspberry Piの特徴として、記憶装置にSDカードを利用しています。
その為、OSや専用ソフトウェアのバックアップ/リストア機能を利用せず、
SDカードの内容を別のSDカードに容易に複製することができます。
ですので、Raspberry Piの本体を用意すれば、台数分の設定済みの端末を作成することが可能です。

Raspberry Piにかかわらず、実際にテレワークの運用するにあたっては、各社の業務内容や
セキュリティポリシーなどに合わせて、どのような機器を導入するのか、どのような運用ルールを設けるか、
といったことを検討する必要があることには変わりがありませんが、
上述の運用上のメリットから、Raspberry Piの採用も選択肢の一つとなるのではないでしょうか。



いかがでしたでしょうか。
今回はRaspberry Piを用いたテレワーク向けの事例や、
その他の活用例にフォーカスを充ててみました。
教育目的という垣根を越えて、様々な場所で商用利用されているRaspberry Piは
身近な場所で日々活躍しており、これからのラズパイ事例から目を離せません。
これを機に、是非1台お手元に持ってみてくださいね!



※1 必要最小限のパーツで構成された小型・低価格・低消費電力が主な特徴であるコンピュータ。
※2 オープンソースのリモートデスクトップクライアント。
※3 USBメモリを一回り大きくした程度の大きさの超小型パソコン。
   本体にHDMI端子を備えており、そのまま大画面の液晶テレビなどに接続して使用出来る。

この記事を書いたヒト

RaspberryPi企画委員会クラスアクト

Raspberry Piを中心に、技術的なことで色々と遊ぶ委員会。 メンバーがRaspberry Piや各々興味のある分野で作りたいものを作って技術力向上を目指しています!


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