この記事はProxmox Advent Calendar 2024 9日目の記事になります。
https://qiita.com/advent-calendar/2024/proxmox
Proxmox VEで選択可能なストレージタイプ ZFS において、パフォーマンスに影響する設定項目などについてまとめてみました。
環境・構成などにより効果の有無・程度は異なる場合があり、他にも要素・観点などはありますが参考となれば幸いです。
ハードウェアRAIDコントローラ上で利用していないか確認
ZFSはソフトウェアRAIDが可能です。
ハードウェアRAIDとの競合する可能性があるため、ハードウェアRAIDコントローラ上で利用することは非推奨とされています。
メモリ(RAM)容量の確認
ZFSは大量のメモリ(RAM)をARCキャッシュに必要とします。
メモリが不足するとキャッシュ性能が低下するため、十分なメモリ容量が確保されている必要があります。
2GiB+ストレージ1TiBあたり少なくとも1GiBのRAMを確保することが推奨されます。
※例:ストレージ8TiBの場合、RAMは10GiBが目安。
ZFSの同期書き込みの無効化
ZFSの同期書き込みを無効化することで、性能向上する可能性があります。
ただし、データ損失のリスクがあるため、利用するかは検討が必要です。
ZFSのブロックサイズの変更
デフォルトでは16Kに設定されています。
書き込みに対して適切なブロックサイズに変更すると、性能向上が見込めます。
細かい書き込みが多い場合は16Kより小さい値にすると有効です。
SSDエミュレーションの有効化
ゲストのディスクをSSDとして認識させると、ZFSのキャッシュやトリム機能が活用でき、性能向上が見込めます。
仮想マシンでキャッシュをWritebackに設定
仮想マシンのディスク設定でキャッシュ設定にwritebackを選択すると、ホスト側キャッシュが有効になり、特に書き込み性能が向上します。
L2ARC(Level 2 Adaptive Replacement Cache)の追加
ARCの補完・2次キャッシュとして、L2ARC用のデバイスを追加することが可能です。
ARCに収まらないデータや、大量のランダムリードが発生する場合に有効です。
また、記憶領域にHDDを利用した場合にコストとパフォーマンスのバランスを取ることもできます。
ZIL(ZFS Intent Log)デバイスの追加
ZIL(ZFS Intent Log)用のデバイスを追加することも可能です。
データベースなど、メタデータの読み書きが頻繁に発生する場合に、同期書き込み性能に対して有効です。
特殊デバイス(Special Device)の追加
特殊デバイス(Special Device)を追加することも可能です。このデバイスにはメタデータ等が保存されます。
そのため、メタデータの読み書きが頻繁に発生する場合に有効です。
補足ですが、L2ARC、ZIL、特殊デバイスは役割が異なるため、併用すること可能です。
LZ4圧縮の有効化
LZ4圧縮はCPUへの負荷がとても低いため、こちらを有効化することで、パフォーマンス向上が見込めます。
評価実施時にクーリング期間を設定
連続した負荷評価実施を行うと、キャッシュがリセットされずにパフォーマンスが低下する可能性があります。
負荷評価時に想定のパフォーマンスが発揮できない場合は、各試験間に適切なクーリング期間を設けることが必要です。
上記以外にも設定・観点などあるとは思いますが、こちらの環境で確認できたものは以上となります。
いずれも実際の環境・構成などにより効果有無など異なりますので、実環境での評価の実施をお願いします。
また、詳細な仕組みや手順などは以下資料もご参照ください。
Proxmox VE Administration Guide
https://pve.proxmox.com/pve-docs/pve-admin-guide.html#chapter_zfs
PVE Wiki
https://pve.proxmox.com/wiki/Storage:_ZFS
Proxmox ZFS Benchmark
https://www.proxmox.com/images/download/pve/docs/Proxmox-VE_ZFS-Benchmark-202011.pdf
Open ZFS
https://openzfs.org/wiki/Main_Page
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