PVEとPBSのサブスクリプションプランについて
Proxmoxはオープンソースソフトウェアであり無料で利用が可能ですが、商用利用をサポートするためのサブスクリプションプランを提供しております。
本コラムではProxmox Virtual Environment(PVE)と Proxmox Backup Server(PBS)におけるサブスクリプションプランの概要と、各プランの差異についてお話します。
PVEのサブスクリプションプラン
PVEのサブスクリプションプランとして、Premium・Standard・Basic・Communityの4つのプランを提供しています。
購入単位はCPUソケット数/年となります。そのため、CPUのコア数やHT(Hyper-Threading)などはカウント対象外となります。
サブスクリプションプラン選択の制約として、同一クラスタ内では同一のサブスクリプションプランを利用する必要があります。一方で、異なるクラスタであれば異なるサブスクリプションプランを利用可能です。例えば、検証環境クラスタにはCommunityプランを、本番環境クラスタにはStandardプランを適用するなど、システムの重要度に応じた使い分けが可能です。
エンタープライズリポジトリへのアクセス権の付与・サポートチケットの提供・オフラインアクティベーションが主な提供内容となり、サポートチケットの提供枚数・オフラインアクティベーションの可否がプランごとの差異になります。
エンタープライズリポジトリ
エンタープライズリポジトリ(Enterprise-Repository)とは、Proxmox開発元によって動作検証が実施された商用利用向けのパッケージリポジトリです。そのため、システムが動作停止になったり、問題が発生したりするリスクが大幅に軽減されます。
なお、サブスクリプションを購入せずに利用可能なノーサブスクリプションリポジトリ(No-Subcription-Repository)との機能的な差異はなく、動作検証の実施有無による安定性が差異となります。
エンタープライズリポジトリは全てのサブスクリプションプランでご利用いただけます。
サポートチケット
サポートチケットはBasicプランで3枚、Standardプランで10枚、Premiumプランで無制限にご利用いただけます。サポートチケットはサブスクリプションごとに付与されます。
例えば、Standardプランで2つの物理CPUを搭載している3サーバを対象にサブスクリプションを購入する場合、サブスクリプションとしてはStandardプランで6、というカウントとなります。その場合のチケット枚数は、Standardプランごとに10枚のサポートチケットが付与されるため、合計60枚となります。
また、Communityプランではサポートチケットが付与されませんが、コミュニティフォーラムによるサポートを受けることが可能です。
サブスクリプションプランを購入時に発行されるサブスクリプションキーをアカウントに登録することで、サブスクライバーとして優先的に回答を得られる可能性が高まります。
Proxmox Support Forum
オフラインアクティベーション
Proxmoxの各プロダクトでは、サブスクリプションを購入した際に発行されるサブスクリプションキーをプロダクトに登録すると、オンラインアクティベーションが実行されます。このオンラインアクティベーションでは、Proxmox開発元のサブスクリプション管理サーバに対して定期的に行われるため、常時インターネット接続が求められます。
しかし、上位プランであるPremium・Standardではオフラインアクティベーションが可能です。これにより、インターネット接続がない環境でもアクティベーションが行えます。
オフラインアクティベーション利用時の注意点としては、Premium・Standardでもデフォルトではオンラインアクティベーションで動作します。オフラインアクティベーションを有効にするには、POM(Proxmox Offline Mirror)ツールによる有効化が必要です。また、POMツールは下位プランであるBasic・Communityでもオプションとして追加購入することも可能です。
つまり、オフラインアクティベーションにはPOMツールが必要であり、上位プランにはPOMツールの利用権も含まれていると考えていただければと思います。
以上が主な提供範囲とプランごとの違いとなっております。
PBSのサブスクリプションプラン
オフラインアクティベーション・サポートチケットなど、基本的な考え方はPVEと同様になりますが、PBSでは、購入単位はサーバ数/年となりますので、ご注意ください。
また、PBSにはクラスタという概念がないため、異なるサーバ間で異なるプランを使用することが可能です。
ですので、複数のPBSを導入する場合は、メインセンタをStandard、サブセンタをBasicのようにプランを使い分けることが可能です。
弊社では上記のようにサービスプランを展開しております。お客様のビジネスニーズやシステム構成に適したサブスクリプションをご検討いただければ幸いです。
株式会社クラスアクトは2023年2月にリセラーパートナー契約を締結して以来、日本市場におけるProxmoxの先駆者的な存在として、豊富な経験と高い技術力を誇っております。 Proxmoxに関するご質問、サブスクリプションのご購入、システム開発のご相談など、お気軽にお声がけください。