これまでProxmox VEはx86-64(amd64)のみを正式な対象アーキテクチャとしていましたが、今回のリリースにより、Proxmox VEとして2つ目のCPUアーキテクチャが正式サポート対象に加わりました。
Proxmox Virtual Environment now available for 64-bit ARM (arm64)!
今回公開されたProxmox VE 9.2 for arm64は、x86-64版と同じコードベース、パッケージリポジトリ、リリースライフサイクルを共有します。
また、Technology Previewではない正式リリースとして、Enterprise Repository及びサブスクリプションサポートを利用できます。
対応プラットフォーム
ARM64と聞くと、Raspberry Piのようなシングルボードコンピュータをイメージする方も多いかもしれません。
しかし、今回の正式サポート対象は、以下のNVIDIAプラットフォームです。
- NVIDIA Grace Hopper
- NVIDIA Vera
その他のUEFIベースのARMv9-A以降のサーバハードウェアについては、ベストエフォートサポートとなります。
ARMv8-Aについても一般的には動作する可能性があるものの、同様にベストエフォート扱いです。
ARM64対応の背景
背景として、NVIDIAとのパートナーシップが挙げられます。
従来よりProxmox VEは、2025年にNVIDIA vGPU Softwareのサポート対象ハイパーバイザーに追加されており、NVIDIA GPUを活用した仮想化基盤との関係を強めてきました。
Proxmox VE is an NVIDIA vGPU supported hypervisor
そして2026年7月には、NVIDIA Mission Control AI factories向けに、Proxmox VEが高可用性のインフラ管理基盤を提供することが発表されています。
Proxmox VE delivers high-availability infrastructure management for NVIDIA Mission Control AI factories
NVIDIA Mission Control
NVIDIA Mission Controlは、AIファクトリーにおけるワークロードスケジューリング、オーケストレーション、監視、自律復旧などを担うソフトウェア基盤です。Proxmox VEは、その下位で管理サービスを稼働させるための、仮想化された高可用性基盤として位置付けられています。
ここで重要になるのが、NVIDIA Grace HopperやNVIDIA Veraといったサーバ向けARM64プラットフォームです。
Grace Hopperは、Grace CPUとHopper GPUを組み合わせたCPU+GPUプラットフォームです。また、VeraはRubin世代のAIファクトリー基盤でホストCPUとして利用されるCPUアーキテクチャです。NVIDIAのAI基盤では、これらのCPUがNVIDIA GPUと密接に連携し、AI/HPCワークロードやAIファクトリー向けインフラを支える重要な要素となっています。
つまり、今回のARM64対応は、NVIDIAのGrace HopperやVeraを採用する次世代AIサーバ/ラック構成において、Proxmox VEを仮想化・管理基盤として利用できるようにするという意味合いが強いと考えられます。
従来も、x86-64 CPUとNVIDIA GPUを搭載したハードウェアでAI基盤を構築する例はありました。今回のARM64サポートにより、NVIDIAのArmベースCPUプラットフォームを採用するAI/HPC基盤やAIファクトリー向けインフラにおいても、Proxmox VEの活用範囲が広がることが期待されます。
